準富裕層に到達したジャズミュージシャン投資家の日記

ジャズサックス奏者です。これまで職を転々としながら、どうしたらフラフラしながらジャズを楽しくやっていけるかを考え続けた結果、投資家になればいいのでは!?と結論づき現在に至ります。

20代のタクシー運転手


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演奏やライブなどで日銭を稼いで、モラトリアムなジャズミュージシャン生活を続けてきたが、20代半ばになると、アルバイト先に、10代や大学生………自分より少し若い世代が入り始め焦りを感じた覚えがある。十数万の日銭でこのまま暮らしていけるのだろうか……とかヤマハレッスンの求人を見てみたり……。だんだん自分の描いていた夢や理想のようなものの道が狭くなっていくような気がしたものだ。演奏活動自体は、本当に上手くいっていた。有名なバンドにも所属していたり、現在一線で活躍しているプレーヤーともギグを重ねていた。家庭の事情で働かなければならない状態にならなければ、人生が変わっていたかもしれない。

何か仕事しないと……そんな中途半端なモラトリアムをしながら、見つけた仕事がタクシー運転手だった。月に10日ちょっと働けばいい………面倒な社会保険なんかも完備だった。20歳半ば……恥ずかしながら、初めての正社員だったと思う。

そして、何故か安心したというか、肩の荷が降りたというか……ホッとしたのを覚えている。

そう、心の何処かでもうジャズミュージシャンとして生きていくのは無理かなっておもっていたんだろう。そしてどうやって生涯ジャズを続けていこう?どんな仕事につけば楽器を続けていけるのか……なんてことばかり考えていた。よくミュージシャン仲間で月に20万あったら余裕なのに………みたいなこと話していた記憶がある。ほんと今思うと貧乏なうえ、世間知らずも甚だしい限りだ 。  笑笑  独身にならともかく家族はとてもじゃないが養えない。

タクシー運転手 

20年くらい前、正直にあまり誇れる仕事ではなかったかもしれない。運転手は雲助なんて馬鹿にされてよばれることもあったし、会社を潰したとか、クビになったとか、または会社が倒産して次の仕事までの繋ぎでやっている人とか…………そんなどこか陰りのあるおじさんたちの仕事だったと思う。ちょうどリーマンショックなどもあって、求人は失業した人の受け皿みたいな役割をすることもあったようだ。

基本給はあって無いようなもので、お客を乗せて走らないと、一日車に乗っていても賃金はほとんどもらえなかった。労働日数は確かに少ないが丸一日24時間働くので、明けた日はくたくただ。明けの日は自由なんて求人広告には載っているが、実際は眠さと疲労で何かやろうという意欲は湧かない。

労働時間も結局、他の業種より長かったり………。よく最底辺労働者ってからかわれるのもわかる早死する仕事だ。

時期によってはどんなに長い時間働いても、お客自体の数が減るので、収入に響いた……。車の運転が好きなら労働自体は続けられるが、20万稼ぐの私を含め、どの乗務員さんたちも必死だった。そうちょうど営業車の数の規制緩和と不景気が一緒にきた時期でもあったからだ。少ないお客を奪いあう…………みんな必死なのは当然だ。家族を養い、住宅ローン、カーローンを払い、子供の教育資金を貯めて………。

自分のように独身で好きにギャンブルして、酒のんで……みたいな人も多い業界だったが………。

 

20代でタクシー運転手をした経験は本当によかった。普通は50代後半、定年者のやるような仕事だが、こうゆう危ない肉体労働をしながら一生楽器をやっていけるか……とかお客に見下されて、社会的地位の低さに惨めな気持ちになったりとか、年をとればとるほど思うようにもなったし、最終的にこのままじゃあ………どんな底辺労働に就いても、いつか音楽やめちゃうなとかとも考えられたから。

この仕事をやめてから、節約を重ねて4000万まで資産を集めることができた。そして今からもう一度、自由に働けるタクシー運転手ミュージシャンに戻ってもいいかなって、明るく思えるのだった。